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朝の一筆 米のコウジかびまろ話(3) 『発酵』と『腐敗』の違いとは


醸造と言う言葉は発酵作用を応用して製造すると辞書には書いてあります。では「醸す(かもす)」とはどう言う意味でしょうか?ずばり醸造すると言う意味なのですが、雰囲気を醸し出すなどにも使われます。

私の学生時代に醸造学の教授から「今度の試験では、醸すについてその元となる意味を書いてもらう」と問題が先に提示されました。ラッキーと言うより困ったなぁが私達の感想でした。辞書どおりではだめだろうからと珍説が色々でました。

カビが米の表面を覆おうから、カビが表面を回る→カビマワル→カンマル→醸す、とか発酵を促進するためにかき回す→カンマワス→カンモァス→カンモス→醸す、など何とかそれらしい答えを模索していた時、「きっと、よい酒ができるカモスれないから」と駄洒落好きのふざけた学生の説は大笑となりましたが、結局、記紀にに「横臼に醸める大神酒」と、口噛みの酒が実際にあったことから、「噛む」を語源にするのが妥当と言う事になりました。当時このくだらない駄洒落を思いついたのは、私だったカモスれない?

さてここで、発酵と腐敗について話しましょう。パンに青カビが生えると腐ったといいますが、ブルーチーズが好きな方もいます。納豆は欧米人には腐った食べ物と思われておりますが、日本人は納豆を美味しく頂きます。この違いは何でしょうか?

人の生活にとって安全性や嗜好性による功罪が基準なのですね、ですから勝手に善玉菌とか悪玉菌とかに区分される微生物にとっては迷惑な話なのでしょう。醸造酢は一度清酒をつくり酢酸菌で発酵させ酢にします。酒造業にとって酢は腐敗であり、酢造業には順当な発酵なのです。

ところで、豆腐は腐ってないのに豆が腐ったと書きますね、実際は納豆の方が腐り豆(発酵豆)じゃないのかとお思いの方もおられるでしょう。次はこのお話しをしましょう。

※東愛知新聞『朝の一筆』コーナーにて2007年7月から2008年3月にかけて全6回掲載されました当社会長村井總一郎のコラムの転載です