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朝の一筆 米のコウジかびまろ話(4)『豆腐』と『納豆』


先回お約束の豆腐と納豆についての話です。豆腐は腐ってもいないのに「腐」の字を使いますが、中国では腐の字は腐るということよりも、ぶよぶよした柔らかい固体を表わしています。また腐は府に肉と書きますが、かつては庫に肉と書かれていたようです。死後硬直した肉を庫にしまっておくと柔らかくなる(腐る?)ので、庫に肉と言う字を書いたのですが、そのうち庫を表わす別の字である府が使われ、腐の字になったと言う事です。豆腐は腐った豆ではなく、柔らかく変化した豆ということなのでしょうね。

納豆の語源は納所の豆といわれています。中世の寺院で納所(物置・納屋)に置いていた豆が発酵して食べたらおいしかったので、納所の豆で納豆と言われるようになりました。納豆は日本だけでなく、韓国のチョングツチャンやインぼネシアのテンペ、ネパールのキネマなど、豆を発酵させた納豆そっくりの食品がアジア各地にあります。

糸引き納豆は麹(こうじ)菌を使わずに蒸した豆莚納豆菌で発酵したもので、昔はわらづとにくるみ、わらの中の納豆菌で発酵させていました。

また、糸引き納豆に対し塩辛納豆があります。京都の大徳寺、天竜寺といった寺院でつくられた「寺納豆」や浜名湖畔の大福寺でつくられたといわれる、豊橋名産の「浜納豆」がそうです。浜納豆は蒸した豆に麹菌をつけて塩水に漬けて発酵熟成させたものです。作用する菌は納豆菌ではないので浜納豆は糸を引きません。

塩辛納豆は中国から渡来したもので、その原形とも言える中華料理に使う豆鼓(トウチ)がありますが、これは麹菌を生やさずに、蒸した大豆を塩に漬けたものです。麹菌の働きの一つはたんぱく質を分解しアミノ酸と言う旨(うま)味に変えてくれます。浜納豆の美味(おい)しさには麹菌の働きがあるのですね。

ではどうして納豆や豆腐、さらに味噌(みそ)やしょう油に大豆を使うのでしょう?それは大豆がとてもダイズ(大事)だから?ではなく、旨味成分に変わるたんぱく質が多いからです。次回は米麹を使う甘酒の話をしましょう。

※東愛知新聞『朝の一筆』コーナーにて2007年7月から2008年3月にかけて全6回掲載されました当社会長村井總一郎のコラムの転載です