Column

朝の一筆 米のコウジかびまろ話(6) 『種麹』と『もやし』


石川雅之箸の『もやしもん』というコミックが、若い人の間で人気が出てアニメ化もされ、当地では深夜に放送されていました。

その内容は、室町年間創業の沢木惣右衛門という屋号の種麹屋の跡継ぎが、東京の農業大学に醸造を学びに行くという話です。この設定はどこか当社に似ているなぁと思いますが、特定のモデルはなく全くのフィクションのようです。

『もやしもん』というタイトルですが、もやしっ子みたいなドラえもんのことではありません。もやしとは種麹(麹を作る種長るコウジカビ)のことで杜氏さんの中には種麹屋をもやし屋さんと呼ぶ方もおられます。

元来もやしとは、穀類などの種子に光を当てずに発芽したものを言います。種麹は発芽したと言うよりも、米などの表面にコウジカビを生やしたものですが、総称としてもやしと呼ばれたようです。

醸造界では米にコウシカビ『はなもやし』と呼ばれます。当社には『はなもやし』と書かれた木製の古い看板が現存します。麹を作る時に米が菌の繁殖と共に発熱することから、萌やすものとして、萌やしとなった説も有ります。

コミックの中にカビや酵母など、沢山の微生物が登場します。|一股にカビと酵母とは、大きさも耐熱性や耐薬剤性などの性質も違い、増え方も違います。カビは胞子を作って飛び散り、瞬く間に増えます。例えば畳やお餅がカビで青や黒、緑、赤といったカラフルなカビの胞子で覆われてしまった経験をされた方もおられることと思います。ところが一方、乳白色の酵母は母細胞から娘細胞を出芽させて、それを切り離すことを何度も何度も繰り返しながら増えて行くのです。


酵母はカビに比べ、増え方など地味だと思いませんか?『それは、酵母は華美(カビ)じゃないからです』ここで笑えた貴方、かびまろ話をお楽しみ頂けたのではと思います。


日本の伝統的な食文化に携わってきた麹とコウジカビの話は、日本酒、焼酎、みそ等まだまだありますが、それはいつかの機会にということで、六回のかびまろ話はこれにて終了。若き曰の顔写真と駄酒落にお付き合い頂き有難うございました。


※東愛知新聞『朝の一筆』コーナーにて2007年7月から2008年3月にかけて全6回掲載されました当社会長村井總一郎のコラムの転載です